胡蝶蘭講座4



四月になると、各地から春の便りが聞かれるようになり、自然の命が活気づきます。多くの人が、花粉症に悩まされるほど、植物も空中に多量の花粉をばらまいて、より多くの子孫を残そうとします

スギなどの植物は、花粉媒介(かふんばいかい/花粉を運んでもらうこと)を風にまかせる風媒花(ふうばいか)のため、大量の花粉を放出しなければなりません。一方、より確実に、効率よく花粉を媒介させるために、こん虫に花粉を運んでもらう道を選んだ植物もあります。昆虫によって花粉媒介が行われる花を虫媒花といいます。
虫媒花では、蜜や花粉をこん虫に提供し、花粉を運んでもらって、互いに助け合って生きているのです。ところが、代表的な虫媒花であるランの花は、多くの種が蜜などの報酬を与えることなく、こん虫をおびき寄せ、巧みに利用して花粉を媒介させています。

昆虫との密接な関係

ランの花は、花粉を運んでくれる動物(主に昆虫)により確実に花粉を媒介してもらうために進化てきました。その結果、花の種類や花粉を媒介する昆虫の種類によって、実に様々な花粉媒介のためのメカニズムが生み出されました。そのため、ある特定の昆虫だけに花粉を媒介させるランも多くあります。また、そのこん虫が、ランの花に訪れたら確実に花粉を運んでもらえるように、花粉がかたまった花粉塊となっており、その柄(え)の先はこん虫の体に粘着しやすいようネバネバしています。

虫を酔わせるラン

中南米原産のスタンホペアと言うランは、花から強い香りを出して、蜂(はち)を花の中へと誘い込みます。あまりにも強烈な花の香りに酔った蜂が、肢(あし)を滑らせた瞬間、背中に、花粉塊(かふんかい)が付着し、他の花へ運んで受粉するしくみになっています。
この蜂には、うしろ肢に香りを溜める袋があり、集めた香りをあちこち縄張りのしるしとしてつける習性があります。このランの花は、その蜂の習性をうまく利用して受粉しているのです。

虫をだますラン

ヨーロッパ原産のオフリスというランは、ある種類のメス蜂にそっくりな花をつけ、オス蜂を誘います。オス蜂がメス蜂だと勘違いして交尾をしようと花に抱きつきと、花粉塊がオス蜂の体に付着します。そのオス蜂が他の花でも同じ行動を取ると、受粉が完了するしくみになっています。このように色や形を他の生き物に似せることを擬態(ぎたい)と言います。
また、色や形がメス蜂に似ているだけでなく、メス蜂がオス蜂を誘惑するために出す、フェロモンという化学物質と同じものを、この花が分泌していることも知られています。種類により、おびき寄せる蜂の種類も決まっており、花の色や形にも違いが見られます。