スギなどの植物は、花粉媒介(かふんばいかい/花粉を運んでもらうこと)を風にまかせる風媒花(ふうばいか)のため、大量の花粉を放出しなければなりません。一方、より確実に、効率よく花粉を媒介させるために、こん虫に花粉を運んでもらう道を選んだ植物もあります。昆虫によって花粉媒介が行われる花を虫媒花といいます。 昆虫との密接な関係 ランの花は、花粉を運んでくれる動物(主に昆虫)により確実に花粉を媒介してもらうために進化てきました。その結果、花の種類や花粉を媒介する昆虫の種類によって、実に様々な花粉媒介のためのメカニズムが生み出されました。そのため、ある特定の昆虫だけに花粉を媒介させるランも多くあります。また、そのこん虫が、ランの花に訪れたら確実に花粉を運んでもらえるように、花粉がかたまった花粉塊となっており、その柄(え)の先はこん虫の体に粘着しやすいようネバネバしています。 虫を酔わせるラン 中南米原産のスタンホペアと言うランは、花から強い香りを出して、蜂(はち)を花の中へと誘い込みます。あまりにも強烈な花の香りに酔った蜂が、肢(あし)を滑らせた瞬間、背中に、花粉塊(かふんかい)が付着し、他の花へ運んで受粉するしくみになっています。 虫をだますラン ヨーロッパ原産のオフリスというランは、ある種類のメス蜂にそっくりな花をつけ、オス蜂を誘います。オス蜂がメス蜂だと勘違いして交尾をしようと花に抱きつきと、花粉塊がオス蜂の体に付着します。そのオス蜂が他の花でも同じ行動を取ると、受粉が完了するしくみになっています。このように色や形を他の生き物に似せることを擬態(ぎたい)と言います。 |