胡蝶蘭講座7



コチョウランやカトレアなど、熱帯地方にはずいぶん派手な花を咲かせるランがあります。しかし、日本にはどのようなランがあるのでしょうか。私たちの身近にある、日本産のランについて見てみましょう。

 世界には約二万五千種以上のランが知られています。特に熱帯地方では種類が多く、その大部分は樹木や岩の表面にはり付いて生きる着生ランです。
では、日本にはどのようなランがどれくらい分布しているのでしょうか。

日本はランの宝庫

日本は国土が余り広くありませんが、南北に長く伸びているため、気候は北海道では亜寒帯、沖縄県では亜熱帯、その他の地域は温帯で、中部地方などでは高い山があります。
また、降水量が比較的多く、湿度が高いため、日本は植物の種類が豊富で、ランだけでもおよそ三百種が知られています。日本の何十倍も面積がある北アメリカですら、ランは二百種に満たないのですから、いかに日本にたくさんのランが自生しているかがわかります。また、ヨーロッパでは全く見られない着生ランも、日本では見ることができます。

身近に生えるラン

日本では林床下にエビネやクマガイソウ、河川敷や公園の芝生にネジバナ、湿地にサギソウ、せり立った岩場にウチョウランやフウラン、樹木の幹や枝にはセッコクやマメヅタランなどのランが自生しています。 特に小笠原諸島や南西諸島には、この地方でしか見られない固有種も多々あります。
高森町でも人里近くの森林でシュンランやギンラン、天竜川河畔でネジバナなどのランをみることができます。
これら日本産のランは、熱帯のランと比べると、比較的地味ですが、セッコクは熱帯地方のデンドロビウムと交配が可能です。その子は寒さに強く、開花期を早めることが可能なため、花屋さんでも一般に販売されています。シュンランも熱帯地方のシンビジウムと交配可能で、日本の野生ランを親に用いることで、日本の風土に合った交配種を作ることができるのです。

消えゆく自然

たいへん残念なことに日本産のランは、土地開発や環境悪化により、その数がどんどん少なくなっています。ランの多くは「日本の絶滅のおそれのある野生生物」に指定されていますが、採集禁止になっている程度で、具体的な保護対策は、ほとんど立てられていません。
では、どのようにすれば野生ランを救うことができるのでしょうか。一つの方法として、前述したバイオ技術の利用が考えられます。バイオ技術をもちいることで、大量増殖が可能で、増えた苗は再び野生へ戻すことで、自生地を再現するという方法も考えられます。一度失った自然を元の姿に戻すことは簡単ではありませんが、環境に対する関心の高まりもあり、蘭ミュージアムでもこのような問題に取り組んでいきたいと考えています。